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  (No.4)

自らを制し治める人
当たり前の事を行う
失敗を肥やしにする
信じ切ること
言葉は命をもつ
自らの場所を知る
知恵は活かすもの
本物を見る
感謝は成功を生む

継続は勝利のもと
生きて働くことば
兆しを捉える
本当の価値とは
勝利者の共通点
心のゆとり
変化をつかむ
危機管理
賜物を活かし用いる



信じる切ることの大切さ

 



「信じる」と言う言葉があります。日頃この言葉はよく使われます。しかし「信じきって」、その通り行えるかと言えば、話は別です。痛みの伴わない事や日常の些細な事なら、その通り行う事は簡単です。しかし環境や状況が、信じる事と大きく異なる状況になったとき、大部分の人はその現実の恐れに従ってしまい、今まで信じていた事をいとも簡単に捨ててしまいます。

相場に於いても、確信をもって買い付けた銘柄をいくらいくらで売却しようと決めます。しかし、その値に達したとき、「もっと上値が・・」と周りの誘惑に負け、売りを引っ込めた時が天井と言う事もあります。更に利益を増やそうと言う「欲望」という魔物が、今までしっかり見えていたものを見えなくさせ、信じるものを信じなくさせてしまいます。自らの分析した売予定値をあっさりと抜いたとき、信じて分析した「売値」が信じられなくなります。

またこの銘柄は割安で上昇は間違いないと玉を建てたが、見送った銘柄ばかりが上昇し肝心の銘柄が動かない。しびれを切らせて乗り換えたとたんにストップ高と言う事もあります。土台のしっかりしたもの、分析の確かなものには、躊躇せず、自らが信じて決めた通りに行動すること。これも相場世界で生きのびる知恵の一つとなります。

人は言葉や目にする環境によって心が左右されます。自分をも信じられない人が多くいる中で、信じる通り行動を取れる人には大きな収穫が備えられています。しかし何でも信じれば良いとは限りません。「イワシの頭も信心から」では、信じても信じなくても不確実なことに変わりはありません。そこにはリスクが少なく、間違いのない確かなものがなければなりません。又その為の勉強を怠らない事は言うまでもありません。


あるところに、神を信じて疑わない人がいました。彼の人生のすべてを神に委ね、神の言葉に従って生きている事を自負していました。

その彼がある日山仕事に出かけました。澄んだ空、清らかな谷川、これらは彼が信じる神が造られたもの、そんな思いの中で一仕事を終えました。本当に気持の良い日でした。爽やかな疲労感の中で弁当を広げ、妻の手作りの弁当を食べました。

満腹感と心地よさから、ウトウトし始めた彼は、山の頂ですっかり眠ってしまいました。

どれ程時間が経ったのか、肌寒くなって目を覚ましました時は、夜になっていました。山の天気は急変し、眠る前とは大違い、辺りは真っ暗で空には星一つありません。そのうえ霧と雲が辺りを包み、数歩先が見えません。

「うっかり眠ってしまった、大変な事になってしまった。」

彼は大急ぎで荷物をまとめ、目を凝らして帰り道を探しました。一歩一歩、手さぐりで進み始めましたが、どちらが帰り道なのか見当がつきません。眼下には不気味な黒雲が立ちこめていました。

しばらく歩いたとき、突然足元が崩れ真っ暗な谷底へと彼は一気に滑り落ちました。

「ウワー!」彼は叫び声を上げました。
「もうダメだ」と思いました。

そのとき、滑り落ちる彼の体が岩肌から伸びた一本の木の枝に引っかかりました。スリ傷だらけになりながらも、彼はあらん力で、必死でその枝にぶら下がりました。

「あー助かった」

真っ暗な中、足元を見ると、深い霧に遮られて谷は深そうです。木の枝にしがみついた彼は、そのとき彼の信じる「神さま」の事を思い出しました。

「神さま、私の信じる神さま助けて下さい。」
「いま私は死にそうです」
「神さまの仰る事は何でもしますから助けて下さい」 彼は叫び続けました。

しばらくすると真っ暗な中から神さまの声が聞こえました。

「そんなに助かりたいのか。それなら助けてやろう。私の言う通りにしなさい。」

「神さま、そこに居られたのですか。」
「仰る通りにしますから、早く!早く助けて下さい。」

「よし分かった。それでは、お前が今つかんでいる枝から手を離しなさい。」

彼はびっくりしました。

「何ですって神さま。そんな事をしたら、谷底に落ちて死んでしまいます。」
「それだけは出来ません。」

「大丈夫だ。いま楽にしてやる、いいから手を離しなさい。」

「いいえ神さま、それはダメです。他の事なら何でも従います、助けて下さい。」

しばらく神さまとの押し問答が続きました。彼の信じる神が、自分を見捨てたと感じた彼は「誰でもいい、どんな神さまでもいいから、私を助けてくれー」と叫びました。

その時彼の信じる神さまの声が、暗闇と霧の中に消えて聞こえなくなりました。下は真っ暗で先が見えません。その内、彼の握っている手がしびれ、もう絶えられなくなりました。

ついに手が離れ、悲鳴と共に彼の体は真っ暗な闇の中へと・・・。

すぐにドスンと彼は尻餅をつきました。落ちた所は、彼が先ほどまで必死にぶら下がっていた処から僅か1メートル下でした。

人は見えないものは信じにくいものです。彼が信じて疑わなかった神の言葉にも、目にする環境を恐れて従う事が出来ませんでした。揺れ動くものを信じるのは破滅を招きます。しかし確かなもの、信じて疑わないものには、一歩踏み出す勇気が必要です。

生きている限り、どんな事にもリスクは伴います。そのリスクを最小限に押さえる為にも、正しいと信じる事を、正しく行うことです。不安があること、信じ切れないことは避ける決断も必要です。

「正しい」種を蒔けば、周りや環境がいくら「それは間違いだ」と言っても、そこに正しい成果(収穫)の実が実ります。そうでないものには、食べる事の出来ない不作の結果が用意されています。いちじくの木がオリーブの実を結んだり、ぶどうの木がいちじくの実を結ぶことはないからです。




 



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