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  (No.12)

自らを制し治める人
当たり前の事を行う
失敗を肥やしにする
信じ切ること
言葉は命をもつ
自らの場所を知る
知恵は生かすもの
本物を見る
感謝は成功を生む

継続は勝利のもと
生きて働くことば
兆しを捉える
本当の価値とは
勝利者の共通点
心のゆとり
変化をつかむ
危機管理
賜物を活かし用いる



兆しを捉える

 



私達の周囲には、色々な意見や主張が飛び交っています。個性やカリスマの時代とも言われる現代、良い悪いに関わらず大きな声や力が他を支配する事もしばしば見受けられます。

多数の意見の中に存在する小さな意見や兆(きざ)しは、時として見過ごされたり、無視されたりして 後に悔いを残す事が少なくありません。小さな兆しや意見は次の変化を知らせる、運命の分かれ道ともなります。

医療現場の小さな意見を無視した為、多くの犠牲者を出したり、作業手順や少しの管理を怠ったために、企業の存亡に関わる事態に遭遇する事もあります。また学校内の「いじめ」においても、生徒の小さな訴えを無視し、尊い命を犠牲にする事も珍しくありません。

色々な問題や変化が起きる前に必ず現れるのが小さな「兆し」です。難病とされるガンも、その兆しが見えた処で対処すれば 殆どが完治するといわれています。またその「兆し」を通して健康を守る知恵が与えられ、更に健康を保つ事が出来るようになります。

全ての事は小さな事の積み重ねで存在することを忘れない事が大切です。再上場を果たした「牛丼の吉野家」も、過去に顧客の小さな意見を無視して、食材の質を落として経営維持を図ろうとしたために、倒産と言う更なる泥沼に沈みました。

お客の意見は種のようなものです。「まずい」と言う種を蒔くか、「旨い」と言う種を蒔くかで企業の運命は大きく変わります。倒産後、アルバイトとして働いていた一人の男によって、誰もが「旨い」と言う、昔の味を復活した新生「吉野家」は、味と共に上場企業としても復活を果たしました。

夕焼けは明日に晴天をもたらします。春になれば草木に息吹が芽生え、秋の気配と共に果実に実が結び 収穫の時を迎えます。身近な事や季節を通して誰もが兆しを感じ取ります。相場に於いても華やかな上昇の中に、また低迷相場の中にも本物の兆しは出現します。その小さな兆しが語る忠告を無視したり見逃せば、自ら最善の旬(しゅん)を逃す事になります。

相場には、
「値幅による兆し」、「出来高による兆し」、「日柄による兆し」、「業績や取組による兆し」、それに「経済指標による兆し」などが現れます。

これらは 手を抜かず真剣に求めさえすれば誰もが見つけることが出来ます。中途半端な求めは「中途半端」な結果しか実りません。相場も子育も手を抜く事は簡単です。また手を抜いても旨くゆくときもありますが、そこには必ず「手抜きの種」が潜んでいます。次の代、次の相場で大きく育った「失敗の実」を、自ら刈り取る結果を招きます。

「兆しを見過ごさない」
これも相場に関わる者が、敗者とならない為の大切な知恵の一つとなります。


英国で多くの人があこがれる ある客船が話題になっていました。英国宮殿をも凌ぐ豪華さは、当時のヨーロッパの誰もが、一生に一度で良いから乗ってみたいと言われる素晴らしい客船でした。

ある時、世界一周に出るその豪華客船に無線通信士の欠員が生じました。そこで大切なお客様の命を預かるに相応しい、職務に忠実な無線通信士を募集する事になりました。

世界一の豪華客船「無線通信士」募集は英国はもとより近隣諸国にまで出されました。試験は豪華客船の一日体験クルーズと豪華な食事が楽しめる中で行われる事にな
りました。

滅多に乗れない豪華な船旅を体験出来る上、採用されたら世界を巡れる事も手伝い、ヨーロッパ中から千名近くの応募者が集まりました。試験当日、船会社のオーナーは応募者全員を、客船を挙げて歓迎接待するよう社員や船員に命じました。

応募者達は余りの豪華さと美しさに驚嘆しました。二つの大ホールに集められた応募者は一等乗船客と同じ扱いの接待を受けました。

高級な珍しいワインが振る舞われ、素敵なショーやバンドの生演奏、ダンスをしたり、ゲームに興じたり、世界の美食に我を忘れてしまいました。誰もが夢の国の王子さまになったように夢心地の中で時は過ぎて行きました。

しかし陽気な音楽や華やかなざわめきの中で、そこには聞き耳を立てないと聞こえない程の小さな音で、モールス信号が流されていました。

その信号の内容は:
「本日は当客船の無線通信士の試験に応募下さり有難うございました。」 「このモールス信号を傍受された方は、中央廊下を船首の方向にお進み下さい。」「そして突き当たりの右に特別室があります、ドアを3回ノックしてお入り下さ
い。」

周りの珍しさと余りの楽しさに誰もこのモールス信号に気付く人はいませんでした。しかし一人の青年がその信号に気付きました。「誰が流しているのだろう」と思いつつ、その信号通りに廊下を進むと、確かに突き当たりの右に「特別室」とプレートが
掲げられていました。

彼は思いきってドアを3回ノックしました。そして恐る恐るドアを開いて中に入りました。そこにはオーナーの富豪と船会社の役員達が笑顔で立って彼を迎えました。

「おめでとう、あなた一人です。」
「よくモールス信号を傍受してくれました。」
「あなたを当客船の無線通信士として採用します。」


周りの環境に自らを失ったり 本来の使命を忘れると本物を手にする事は出来ません。大勢の応募者は、豪華な食事、楽しいショー、夢見心地の環境の中に溺れ、小さく微かな音で流れるモールス信号を受信する事が出来ませんでした。

興味を引くもの 珍しいものに溢れる中に在っても、職務の小さなモールス信号を聞き逃さなかった彼が、千人の中の一人と言う幸運を獲得しました。

相場に生きる私達の場合も、「華やかなラッパ」や「美味しい話」が溢れる中に微かな音で、本物のモールス信号(正しい情報)が流れているものです。周波数を本来の目的に合わせ、絶えず傍受して勝利を獲得して行きたいものです。




 



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