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  (No.16)

自らを制し治める人
当たり前の事を行う
失敗を肥やしにする
信じ切ること
言葉は命をもつ
自らの場所を知る
知恵は生かすもの
本物を見る
感謝は成功を生む

継続は勝利のもと
生きて働くことば
兆しを捉える
本当の価値とは
勝利者の共通点
心のゆとり
変化をつかむ
危機管理
賜物を活かし用いる



変化をつかむ

 



私達が住む世界で変化しないものは存在しません。作られたものは壊れ、生あるものは必ず死を迎えます。全ての始まりには終わりが用意され、変化を通してその中に新しい命、新しいものが創造されてゆきます。

万物はこの自然の変化と営みを無視しては存在出来ません。聖書の言葉を引用すれば、「全ては変化し、唯一変わらぬものは神のことば(真理)である」と言っています。

人は不変願望が満たされるとき心に安心と平安を得ますが、反対に予期しない変化に遭遇したとき不安や恐れを招いてしまいます。

身の周りでも、愛を誓った家庭が崩壊したり、大企業の倒産やリストラ、終身雇用の崩壊、国家の倒産?など、これだけは大丈夫と、誰もが疑わなかったものにも、崩壊の危険を感じる時代になりました。

日本も国や政治が変わろうとしています。外務省の不祥事が次々とあらわにされ、決して変わらないと思われていた官僚構造にもメスが入れられました。また小泉政権によって歴代内閣が果たせなかった構造改革が始まろうとしています。

天下りや公費の私物化が 当然の権利のように振る舞ってきた 多くの官僚に取っては、決して容認出来ない事であると同時に、嘗てはこんな変化が起こる事を誰も考えませんでした。

「まさか」が「現実」になる中で「このままでは・・」と言う国民の切迫感が、外務大臣や小泉総理の支持率にも表れています。今まではタブーとされた事、予想すら出来なかった事にも変化と言う試練は避けて通れなくなりました。

「変化」、これを認め、自らが変わる時 人は新しい道を発見します。しかし「変化」を拒ばめば、その先は破滅に至る道となります。全てに起こるこの「変化」を予測し、自らが早く対処すれば、変化を楽しむ余裕さえ生まれ、それによる苦しみや試練が新しい創造を生み出す命となって宿ります。


先頃のベストセラーに「チーズはどこへいったの」と言う書籍がありました。二匹のネズミと二人の小人がチーズをめぐって繰り広げる四者四様の行動をとおして、人の心の単純さと複雑さがユーモラスに書かれています。

毎日なに不自由なく、大好物のチーズをたらふく食べていた、二匹のネズミ、スニッフとスカリー、そして小人のヘムとホーの元から突然チーズが消えた処から物語が始まります。

予期しない環境の変化に対して、鼻の利くスニッフと行動早いスカリー(ネズミ達)は、新しいチーズを求めて迷路に旅立ちます。新しい行動を起こしたネズミ達に対して、小人のヘムとホーは「我々には優秀な頭脳がある」「ゆっくり考えよう」と相談をします。

「またチーズが戻ってくるかも知れない」、待つ事にしましたが環境は全く変わりません、失望と不安で互いに腹をたて相手をなじります。

小人のヘムはチーズが無くなると言う変化を絶対認める事が出来ません。ここで新しい行動を起こす事は、もっとまずい境遇に落ち込むのではないかと不安と恐怖に、その場所を捨てる事が出来ず、益々殻(から)に閉じこもってしまいます。

一方小人のホーは、新しいチーズを見つければ又まえの様な楽しい生活が出来る。今の自分達の行動は環境を悪化させているだけではないか。関係に見切りをつけるのではなく、これ迄の行動を改めて、消えた古いチーズを捨てる事で、きっと良いことに出会うのではないかと考えました。

迷路に踏み出す勇気が出ないヘムと別れ、ホーは恐る恐る迷路に旅立ちました。古いチーズがないままでいるより、迷路に出で探した方が安全ではないか。古いチーズに早く見切りをつければ、それだけ早く新しいチーズが見つかるのではないかと思いました。

この後ホーは何日も不安の迷路をさまよいますが、とうとう新しいチーズを発見します。そこには先に迷路に踏み出した、得意の鼻を武器とするスニッカ、ガムシャラに走り探し回るスカリーのネズミ達がいました。

■二匹のネズミと二人の小人を通して語られているメッセージは、

1)変化は起きるものであり、それに対応出来ない原因は自分自身の内にある。
2)チーズが消える事を予測するように、変化を予測しよう。
3)常にチーズの臭いを嗅いでいれば古くなった事に気付くように、変化を探知できる。
4)恐怖を越えれば気持ちが楽になる、自分が変わらなければ破滅に陥る事になる。
5)問題を複雑にし過ぎず、物事を簡潔に捉える。
6)古いチーズを諦める事で、早く新しいチーズを楽しむ事が出来る様に、柔軟な態度で変化に素早く対応する。

「人は自分の大切なもの(チーズ)が大事であればある程それにしがみつきたくなるものである。しかし、その大切なものを捨てなければ、いずれ破滅する事になる。状況が変われば自分達も変わらなければならない。」

「恐ろしい事を考えて我を忘れたり、事態を何処までも分析しょうとして物事を複雑にし過ぎないこと。変化に早く適応する事が大切である。」「早い時期に小さな変化に気付けば、やがて訪れる大きな変化に適応できるよう備える事ができる。知識があればある程、考え過ぎて物事を複雑にしてしまうものである。」と語りかけています。


このチーズは人によっては名誉や地位であったり、家族や恋人であったりします。相場や事業をする人にとっては、売買技術であったり、知識やお金や資産であるかも知れません。

相場に関わる私達も、この「ものがたり」を通して考えさせられる事が少なくありません。相場の変化を見過ごしたり、思惑を外した玉を抱え新しい一歩を踏み出せない事があります。また分析をし過ぎてタイミングを外してしまったり、蓄えた知識や知恵を捨てきれず、変われない自分を見る事もあります。

相場で勝利を継続するには、「伸び縮み(変化)しない物差し」を持たなければなりません。しかし、これは経験や売買技術を固持することではなく、「変化は起きるもの」と言う、基本の物差しを持つことです。

過去に連勝を続けた売買法や分析技術にも「絶対」はありません、その上でリスク管理をしなければなりません。「相場は変わるもの」と言う前提にその変化を予測し探知します。この小さな継続が、「突然チーズが消える」と言う危険から身を守ります。

過去の経験や罫線に頼った売買、特定の技法や秘法の盲信は 予期しない変化に大きな打撃を受けかねません。「全てが変化するもの」という「真理」を土台に、「変わる兆し」を求め続ける事が、変化の中で変化しない売買を継続する知恵となります。




アメリカでのお話です。一人の青年が徴兵され戦場の最前線に配属される事になりました。そこは戦局が悪化し泥沼戦となっていました。また多くの戦死者もでている危険な地域でした。

彼の親友が心配して彼に言いました。
「君の配属先をもっと安全な所に変えて貰えるよう、パパに言ってあげるよ」 彼の親友の父親はなんとアメリカ合衆国の大統領でした。

しかし彼は「戦争は本当に怖い、だけど僕はアメリカ人として立派に任務を果たしたいんだ」 友だちの薦めを断り危険な戦場へ行くことになりました。

入隊する前日、大統領を父に持つ友人は彼を訪ね一通の封書を手渡して言いました。

「パパが、辛い時はいつでも帰国出来る様にしてあげる」
「帰りたくなったら、この書類を部隊の上官に渡しなさいと言っていた」

それは いつでも本国に帰還出来ると言う、アメリカ大統領の命令書でした。

彼はその命令書を軍服に縫いつけて戦場に行く事にしました。間もなく多くの部隊と共に前線へ送られました。戦場は彼が想像していたものとは天地の開きがありました。

壮絶な戦いが繰り広げられ敵も味方も分からない状況の中で、一瞬一瞬が死と隣り合わせの毎日でした。炸裂する砲弾を避けながら、一刻も早くこの悲壮な場から逃れたい思いでした。

数分前まで横にいた戦友が次々に砕かれ無惨な姿に変わってゆきます。「自分も明日は生きていないかも知れない」と本気で思いました。

特殊任務に就く彼には、合衆国の英知を結集した最先端の武器が与えられ、身を守る為のあらゆる情報分析がされていました。しかし修羅場とも言える戦場の中で、彼を支えたのは、最先端の武器でも、威信をかけた分析情報でもありませんでした。

それは、彼の友人から手渡された大統領の命令書でした。
「僕はいつでも帰国出来るんだ」 「軍服に縫いつけた書簡さえ見せれば帰れるんだ」

逃れの道、完全な身の避け処を持つ「確信」が、彼に励ましと力を与え 「明日まで頑張ろう」「もう一日がんばろう」と言う思いを与えました。確実に帰れると言う約束と安心が過酷な戦場で生きる勇気と力になりました。

とうとう彼は大統領の書簡を持ったまま3年間の前線任務を全うしました。その間、最前線を離れたいと思う事は数え切れぬ程ありましたが、その書簡を一度も使う事はありませんでした。

無事に帰国し、再会した友人は彼の無事を心から喜びました。
「地獄の様な戦場に君は耐えられないと思っていたよ」
「帰ろうと思えば帰れたのに、どうしてパパの書簡を使わなかったんだ」

彼は友人に言いました。
「本当に有り難う。前線では君のパパの書簡が僕を守ってくれた」
「信頼出来る約束が、何百倍もの勇気と忍耐と平安を与えてくれたんだ」


いつでも帰国出来ると言う、「信頼出来る約束」が冷静な判断を生み、心の余裕が過酷な最前線に在っても、環境を克服する力となりました。

戦場に在っては大統領の命令が絶対的な権威を持つ「真理」である様に、相場の戦場では「予期せぬ変化は起きるもの」、これが危険から身を守る真理です。この真理を相場の衣に縫いつけて、変化を楽しむゆとりと共に 前線除隊まで継続した勝利を重ねたいものです。




 



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